デジタル音楽市場における「独占配信」、もはや幻想に?

スポンサーリンク

タイトルに関連して、同じ4月6日に2つの面白い記事が書かれていたので紹介します。

  • デジタル市場は「法を守った者負け」でよいのか

  • Beyoncé and Rihanna Premiere Exclusive Tracks on Tidal; Fans Promptly Put Them on YouTube
  • (訳:ビヨンセ、リアーナは「Tidal」で新曲を独占発表した。ただし、ファンはすぐさまYouTubeにアップしたけどね。)

    2つ目の記事は英語サイトですが、「Spotify(スポティファイ)」に対抗する音楽ストリーミングサービスとしてスタートした、ラッパーのジェイ・Zがプロデュースするストリーミングサービス「Tidal(タイダル)」のプロモーションの一環として、ビヨンセとリアーナの新曲を独占配信したにも関わらず、ファンがすぐにYouTubeにアップロードしたので、実質独占ではない独占配信になってしまったという記事です。

    ちなみにTidalは、本記事投稿時点で日本では利用できません。

    独占配信の意義と効果


    「ファンクラブ加入者向けに先行配信」とか、「スペースシャワーで独占配信」といった手法はよく取られてきました。

    やっぱり好きなアーティストのMVや新曲は、だれよりも早く聴きたいですからね。

    そのためにファンクラブに加入したり、有料チャンネルに加入するということもありました。

    そういった意味で、「独占配信」という手法は音楽・動画サービスの収益やマーケティングにおいて大きな効果を発揮していました。

    しかしながら、記事でも紹介されているように、現在のデジタルコンテンツ市場において「独占」という手法に実質的な支配力がなくなっているといことも、隠しようのない事実だと思います。

    独占の「収益目的」と「マーケティング目的」


    そもそもTidalは、完全有料制のストリーミングサービスです。有料会員になってもらう理由の目玉として、今回のような独占配信を行いました。

    サービス開始時の記者会見でもあったように、ジェイ・Zを始め、ビヨンセ、リアーナ、カニエ・ウェスト、アッシャー、ダフト・パンク、マドンナ、コールドプレイのボーカルであるクリスなど素晴らしい面子の述べ16人が共同オーナーとなり、彼らアーティストが主導となって独占コンテンツをTidal上で提供することが大きな強みになっています。

    先日紹介した「YouTube対抗の新動画サービス:Vessel」も、似たような独占配信を強みにしています。

    しかしこの週末、早くもその独占が崩れ去りました。
    数字が出ていないので分かりませんが、今回Tidalの独占配信はどの程度、収益に効果が出たのでしょうか?

    結局、時代の流れとともに「独占」だけでの収益は難しく、「独占」は話題作りのマーケティングツールにしかならないのではと思います。

    もちろん、違法アップロードは犯罪です。これらを「許可しろ」なんて言うつもりはありません。

    ですが、マーケティング目的でコンテンツを「独占」した上で、「さらにプラスαの価値」を提供しないことには、収益には結びつかない時代になっていると感じました。

    終わりに


    繰り返しになりますが、そもそも違法アップロードが無くなれば、このような問題も発生しません。

    ですが、真面目に法律を守り、正当に「独占コンテンツを配信」していても収益が出せなくなっていることも事実です。

    1つ目の記事の最後に記載されている文章の引用です。

    * * *
    いまやさまざまなデジタル市場で、法を守っていては他社に後れを取るという動機が事態を悪化させている。

    〜中略〜

    無用な、あるいは時代遅れの規制に悩まされている業界もあるだろう。ならば民主的で適正なプロセスに従って規制を撤廃すればよい。わずか数社だからといって違法を見逃せば、それは実質的に、法を遵守している企業を罰し、自由奔放な企業を儲けさせることになる。これは明らかに、消費者が求めているビジネスモデルではないはずだ。

    引用元:デジタル市場は「法を守った者負け」でよいのか

    * * *

    まさにこれが全てだと思います。

    今回Tidalは、ミュージシャンが主導になり、正当な方法で収益が出るように独占配信を行いました。

    しかし、市場環境(特にインターネット上、デジタルコンテンツ市場)は、「独占」をもはや幻想においやっています。まさに、法を守った結果、独占が崩れた状態です。

    今回は海外の話ですが、これは日本でも同じケースになっています。

    メジャー、インディーズ関係なく、アーティストがその作品に対して正当な収益を得るべきですが、法律と現状のミスマッチによりそれが実現しない事態が解消される日は来るのでしょうか。

    僕自身、具体的にどうすれば良いと妙案は出て来ないのですが、今回の記事を見て感じたことをまとめてみました。

    最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

    スポンサーリンク
    この記事をシェアする
    おすすめトピック
    東京indieは元バンドマンが届ける音楽メディアです。